歯周ポケットと歯周病・口臭の密接な関係:リスクと「バス法」による自宅ケア徹底解説のイメージ

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歯と歯茎の間には「歯周ポケット」と言われる隙間があり、その歯周ポケットには、食事をした際の食べカスや歯周病などの原因になる細菌が入ってしまうことがあります。

そして、歯周ポケットに詰まった食べカスや細菌が歯肉炎や歯周病の原因となり、歯や歯茎をボロボロにしてしまいます。

今回はそんな歯周病の大きな原因の1つである歯周ポケットの深さや改善方法についてご説明いたします。

 

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歯と歯茎の危険な隙間「歯周ポケット」とは?

歯と歯茎の境目には、本来わずかな隙間、歯肉溝があります。健康な状態であればその深さは1~2mm程度ですが、この隙間が深くなった状態を歯周ポケットと呼びます。

この歯周ポケットこそが、口内の健康を蝕む大きな問題の根源となります。

なぜなら、食事の際の食べカスやプラーク(歯垢)に含まれる歯周病菌などの細菌が、このポケット内部に容易に侵入し、溜まってしまうからです。

ポケット内部で増殖した細菌は、歯茎に炎症を引き起こす歯肉炎、そしてさらに進行すると歯を支える骨(歯槽骨)まで破壊する歯周病へと悪化させます。

歯周病は、日本人が歯を失う最大の原因であり、単に歯の健康を脅かすだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼすことが知られています。

 

歯周ポケットの深さが示す危険度

歯周ポケットの深さは、歯周病の進行度を測る重要な指標です。

歯科医院では、プローブというメモリのついた細い器具を使って、歯と歯茎の境目に沿って深さを計測します。

  • 1~2mm: 健康な状態、または問題のない歯肉溝です。
  • 3mm以上: この深さから歯周ポケットと見なされ、注意が必要です。歯周病の初期段階である可能性が高まります。
  • 4mm以上: 中等度の歯周病が疑われ、さらに進行している状態です。この深さになると、プラークがより溜まりやすくなり、自宅でのブラッシングだけでは清掃が難しくなります。
  • 7mm以上: 重度の歯周病です。この段階に至ると、歯を支える骨の破壊が相当進んでおり、歯のグラつきが現れるなど、非常に危険な状態となります。放置すれば抜歯に至る可能性が極めて高くなります。

深さだけでなく、計測時に歯茎から出血したり、ポケット内に歯石が付着している場合も、歯周病が進行しているサインであり、早急な対応が求められます。

 

放置厳禁!歯周ポケットが引き起こす深刻な問題

歯周ポケットを放置すると、単に歯周病が悪化するだけでなく、日常生活に大きな影響を及ぼす問題が生じます。

 

1. 慢性的な口臭の発生

深くなった歯周ポケットは、細菌にとって格好の隠れ家となります。

溜まった食べカスや細菌の塊であるプラークは、嫌な臭いを発生させる揮発性硫黄化合物を作り出します。

これが、どんなに舌を磨いたりマウスウォッシュを使っても消えない、歯周病特有の強い口臭の原因となります。口臭は、社会生活や人間関係においても、自信を失う一因となり得ます。

2. 歯周病の進行と歯の喪失

ポケットが深くなるにつれて、細菌は歯の根元へと侵入し、歯を支える歯槽骨を溶かし始めます。

骨が溶けると歯と歯茎の密着度が失われ、やがて歯がグラつき始めます。

最終的には、支えを失った歯が抜け落ちてしまうという、不可逆的な事態を招きます。一度失われた歯槽骨は自然には元に戻らないため、歯周病の進行を食い止めることが何よりも重要です。

3. 全身疾患への影響

歯周病菌は、歯茎の血管から体内に入り込み、全身を巡ることがわかっています。

これにより、糖尿病の悪化、心筋梗塞や脳梗塞のリスク上昇、誤嚥性肺炎や早産・低体重児出産との関連性など、さまざまな全身の健康問題を引き起こすことが指摘されています。

 

歯周ポケットの改善は毎日のセルフケアから:効果的な「バス法」

残念ながら、一度深くなってしまった歯周ポケットを「手術などで瞬時に完治させる」といった根本的な治療法はありません。

歯周ポケットは、毎日の不適切なケアの積み重ねによって形成されるため、その改善もまた、毎日の継続的なケアによって徐々に成し遂げられます。

歯周ポケットができてしまった人、あるいは進行を防ぎたい人に特に推奨されるのが、歯と歯茎の境目に特化したブラッシング法であるバス法(Bass法)です。

バス法の具体的な磨き方

バス法の目的は、歯ブラシの毛先を歯周ポケット内に約1mm入れ、ポケット内のプラークを物理的にかき出すことです。

歯ブラシの選択: 毛先が細く、比較的柔らかい歯ブラシを選びます。

硬い歯ブラシでは歯茎を傷つけてしまう恐れがあります。

  • 適切な角度: 歯ブラシの毛先を、歯と歯茎の境目に対して45度の角度で当てます。
  • 動かし方: 軽い力で、歯周ポケットに毛先を入れ込むようにします。その後、その場で小刻みに振動させるように動かします。決してゴシゴシと力を入れて磨いてはいけません。
  • 磨く範囲: 一度に磨くのは1~2本の歯にし、振動磨きを終えたら、隣の歯へ移動します。これを歯の外側、内側、奥歯から前歯まで、すべての歯に対して丁寧に行います。

重要な補足事項

  • 難しければ指導を受ける: バス法は、角度や力加減が難しく、自己流で実践すると歯茎を傷つけたり、逆に磨き残しが増えたりする可能性があります。そのため、歯科医院で衛生士や歯科医師から正しい磨き方の指導を受けることを強くおすすめします。
  • 期間はかかる: 歯周ポケットの改善には時間がかかります。深さにもよりますが、バス法による丁寧なケアを継続しても、目に見える改善には半年から1年程度の期間を要することが一般的です。諦めずに毎日継続することが、歯周病改善への唯一の道です。
  • 補助器具の活用: 歯間や奥歯の裏側など、歯ブラシの毛先が届きにくい箇所には、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することが必須です。これらを使用することで、プラーク除去の効果は格段に向上します。

 

予防と改善のための歯科医院の役割

自宅でのセルフケアは改善の「主役」ですが、歯科医院の定期的なチェックと専門的なクリーニングは、改善・予防の「要」です。

定期検診で確認できること

歯科医院では、歯周ポケットの深さを計測し、以下の点を正確に把握できます。

歯周ポケットの進行度と状態: 歯一本ごとの深さを記録し、前回との比較で進行・改善状況をチェックします。

  • 歯石の付着具合: 自分で除去できない歯石は、歯科医院での専門的なクリーニング(スケーリング)によって除去する必要があります。歯石はプラークの温床となり、歯周病を悪化させる最大の要因です。
  • 磨き残しのチェック: 歯の染め出しなどを行い、患者さん自身が日々のブラッシングで磨き残しができやすい箇所を特定し、そこを重点的に磨く指導を受けることができます。

歯周病は、自覚症状が出た時にはかなり進行しているケースが多いため、「気になる歯がない」人でも、定期的な歯科検診(一般的には3ヶ月~半年に一度)を受けることで、早期発見・早期治療、そして最も重要な予防に繋がります。

歯周ポケットは、一度できてしまうと改善に時間と労力がかかります。そうなる前に、日々の丁寧な歯磨きと、歯科医院での専門的なケアを組み合わせた予防を実践することが、健康な歯とさわやかな息を保つための最善策と言えるでしょう。

あなたの歯周ポケットの進行具合について、専門的な診断と適切なケアの指導を受けるため、ぜひ一度、お近くの歯科医院にご相談ください。

 

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